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事例紹介

株式会社いなかの窓

2021年1月6日
  • 丹波篠山市
  • 起業
  • IT

【㈱いなかの窓プロフィール】

丹波篠山市出身の同級生3人が、それぞれ都市部での勤務を経てUターンして起業したウェブデザイン会社。地域課題解決への貢献を企業理念とし、代表の本多氏は高校生を対象とした夢授業も開催。2018年からはコワーキングスペースcomadoを運営。2020年は中止となったデカンショ祭のオンライン開催も企画。

 

―「いなかの窓」という社名ですが、「都市と田舎をつなぐ窓」だとか、「ノマドワーカー」の意味もあり、ポストコロナで色々な働き方が注目されています。最初創業された時から、今は会社の規模はどれくらいになっているのでしょうか。また、コロナ禍を機に変わった点などはありますか。

 

(本多)

今は8人体制ですね。創業時に比べて仕事量は増えていて、今年は市の観光サイトのリニューアルをさせてもらいました。コロナの影響としては、新聞にも出ていましたが、中止になったデカンショ祭の代替企画を行っています。

【お話を伺った本多さん(左)と足立さん(右)】

 

―あのオンラインのデカンショは、公民館とかにスポットを設けていくんですね。

 

(本多)

当初は、各自治会の公民館200何カ所に、Wi-Fiとディスプレイを設置して、高齢者が見られるようにという方向で市が検討されていたのですが、予算の関係もあり数カ所の公共施設でのみ見られるという形になりました。オンラインデカンショでは、SNSで踊っている動画を募集して、数珠つなぎで放送したり、シークレット打ち上げ花火をしたり、デカンショ踊りを放送中踊り続ける企画をしたり、オンラインだからこそできる企画に挑戦します。

 

―丹波篠山市でもよくあるのが、特産品を販売したり野菜を使って加工品を作ったりする地域を我々もお手伝いするんですが、なかなかPRができないということもあって。集落とか自治会、農家も含めて、そういったところの仕事を受注されることはありますか。

 

(本多)

まちづくり協議会とかのウェブサイトとかはありますね。農業なら、若手農家さんが集まった組織が新しくできる際に、ロゴやデザインの作成をしています。そこは、農協という大きい組織がある中で、もう少しプロフェッショナルに特化した、農協的な立場だけどいいものは高い値段で売れる組織を作りたいということで、相談に来られていますね。

 

(足立)

さともん(NPO法人里地里山問題研究所)さんとかもそうですね。サルの獣害で困っている農家が市内に結構あって、サルの位置情報を把握して、農家さんにメール等で共有して、どこにサルが出没しているので見回ってくださいという、情報を共有できるシステム、「サルイチ」といいますが、それを開発して、今も動いています。

 

(本多)

これは(ウェブサイトではなく)システムのほうですね。サルの位置情報は市内全域で管理されているのですが、利用者からすれば自分の周りの情報しか必要ないじゃないですか。なので、自分の農地などの位置情報を登録しておけば、その周辺でサルが出たという報告がメールで届くようになっています。

 

―よくある不審者の情報みたいな。

 

(本多)

不審者のサルバージョン(笑)

それが派生して、伊根町(京都府)でも導入されていたりもします。

 

―仕事をする中で段々と人とのつながりが広がっていくと思うのですが、会社の地域への浸透具合は、創業当初と今とで変わってきましたか。

 

(本多)

最初の頃は知り合い伝てが多かったですが、今は全く知らない方からも仕事の依頼をいただきますし、市の大きな仕事もできるようになったりしています。最初は若かったというか、地域の人からは出る杭というか、そうして冷たくされたこともあったのですが(笑)

最近は徐々に認められつつあるのかなと。オンラインデカンショの企画も、地域の方々からボロクソに言われるんじゃないかと思っていたのですが、そんなこともなく。市長からも徐々に認識されてきたのではないかと感じます。

【オフィスの様子】

 

―初期の頃に、「まめつー」等のウェブメディアがありましたが、あれは今もあるのですか。地域住民の情報リテラシー向上や、一般の方が記事を投稿できる仕組み、みたいなことが書かれていたのですが。

 

(本多)

今は「#(シャープ)ささやま」に変わっているんですが、更新はしていないけれども検索では上位にヒットしたり、またやって欲しいという声もあります。一般の方の投稿については、実は「#ささやま」にフォームはあるんですが、一向にないです。投稿が採用されたらアマゾンギフト券500円を贈呈、って書いているんですが(笑)

【いなかの窓が入居するリトル丹波ビル】

 

―情報リテラシーの話についてもうひとつ。ホームページ作成にしろチラシ作成にしろ、なかなか地域の方をお世話するのが大変だと聞きます。

 

(足立)

ありますね。大きい会社なら広報担当がいて、自分達の理念だとかを継続的に発信していると思いますが、この辺りの会社は発信する機会が少ないので、内容を自分で考えられないとか。

 

―ホームページやSNSがどういうものか分からない住民の方向けのITリテラシー向上のセミナーなどは。

 

(本多)

セミナーはあまりしていないですけど、したいですね。結構、新しく会社を立ち上げる方もいて、そこのHPを頼まれたり。さっきの農家の若手が集まった新しい団体でも、ロゴを作るというのでどういう理念かを聞いたら「まだ決めてない」と。僕のほうで深掘りしていくんですけど、最終的には「企業理念を考えてくれ」みたいな感じで、冗談で振られることもあります(笑)

 

―皆さんはこの会社以外でやられている事業ってありますか。

 

(本多)

僕は青年会議所の活動と、あとはビジョン委員会のつながりで、一般社団法人BEETで、キャリア教育に携わる夢授業を毎年やっています。

地域で働いている社会人の方々をお招きして、今自分がやっている仕事に関して、何をやっているのか、学生時代にどういうことをしていたとか、どういう流れでこういう仕事に就いているのかを経験談として話して、メッセージも伝えつつ、最後は質問タイムで。一人あたり、5人くらいの高校生を相手に話していただいています。

 

―すごく良い取組ですね。シリ丹バレーでも、将来的には起業家が集積する場所にしたい、そしてそこを担っていく人にも育ってほしいということがあって。今は小学校でもプログラミング教育が始まったりしているので。ぜひ高校生だけに限らず、小学生や中学生も含めて、丹波にこんな面白い人達がいるんだよということを伝えられたらなと。

 

(本多)

BEETでは他には、去年は篠山鳳鳴高校で一年間、地域探求という授業を請け負っていて、1年生に地域の課題に対してどうやったら解決できるかを探求してもらいました。課題を見つけて、自分のできることとかやりたいことで解決していきましょうと。中には「実は僕、起業したいんです」と思っている高校生が2人くらいいたのかな。そんなことを高校生が考えているんだと思いましたし、ちゃんと考え方もしっかりしているし、相談を受けたりとかもありました。

 

―なかなか起業から入るというのは難しいですよね。何かしらの社会人経験があって、次に起業とか、一旗揚げるかみたいなことはあるかも知れないんですが。

 

(本多)

ふふふ(笑)ただ僕も社会人経験なしで起業みたいな感じですので、大変でした。

 

―いなかの窓からのアドバイスがあればなんですが、今は地域住民の方も農業に忙しかったり、木を切るのに忙しかったり、イベントがたくさんあったり。そういう人に対してできる提案、これはものの見方でもいいんですが、こうやったらもっと楽になるよとか。

 

(本多)

忙しい人って、忙しくしていたいのか、しんどくて忙しいけどやらないといけないのか、やりたいことをやっているから忙しいのかによって全然違うと思います。本当にやりたいことなら忙しくてもできると思いますし、目的意識というか、本当にやりたいという気持ちが大事かなと思いますが、これは精神論です(笑)

精神論じゃない論で言うと、田舎の良さって、集落とか農業とか本業とか、色んなことを経験できること。世の中が変化していく中では、本業一本でやることはすごいリスクだと思うので、生き残っていくためには色んなことをしていかないといけないなと思います。どんどんチャレンジが必要かなと。

僕もそんな感じで仕事をしているんですが、そうすると結構地域から重宝されると思います。色んなことをできる人が地域では必要なので。いいように使われているというか(笑)

 

―この会社は元々、企業理念として「地域の課題解決」を掲げられていますが、皆さんから見て、今の地域の課題はどんなことがありますか。

 

(本多)

地域の課題がめちゃくちゃあるなと思います。人口減少もよく言われますが、観光客も減っていますし、教育でも外の高校に行く子も増えてきた。求人も。全然人がいないとか、農業の担い手がいないとか。雇用問題も。

ただ、色んな地域課題がある中で、情報発信の目線で言うと、情報が圧倒的に足りていないと思います。観光客向けの情報はありますが、地域の人達同士が情報交換できる場所が少ない。情報交換をしている人はそこでコミュニティを作りますが、できない人は小さい色々な共同体にとどまって、地域が保守的で排他的になってしまう。外から人が来づらいですし、新しい集落に入ったらよそ者扱いされたり。幅広いコミュニケーションができないことによってそういうことが起こっているんじゃないかな。

地域内でイベントをしても、人が来ないことも結構多い。うちもセミナーやったりしますがあまり人は来ないですし(笑)やりたくても人が集まらなかったら開かれないと思うんです。理想ですが、4万人の人口全員が閲覧できる、交流できるサービスがあれば解決できるかも知れない。そこで、イベントしますという情報が流れればいっぱい人が来ると思いますし。他にも、こういう起業家がいるという情報を見れば、例えば高校生が自分も起業できるかもと考えたり。高齢者は見られないとかいうネックがあるんですが、やっぱり情報リテラシーが大事ですね。

 

―スマホでも、70歳くらいまでなら何とか広まってはきています。今でも、高齢者が多い自治会でも、やるところでは回覧板がスマホで流れてきたりとか、夜中の寄り合いがLINEで終わったりとか、使い方はいくらでもありますもんね。

 

(本多)

これだけスマホが便利と言っているのに、まだ持っていない人いるじゃないですか。僕の父親も去年から持ち始めたんですけど。55歳くらいで(笑)情報の便利さに気付いてもらえないとだめなのかなと。スマホに換えるって結構ハードル高いじゃないですか。全部の公民館にデジタルサイネージを置いて、そこで情報を調べられるみたいなところから始めるとか。デジタルサイネージに触れた高齢者が「これ便利やな」となって、それが実はスマホでできると知れば、「持ち歩きでこんなことができるんや」みたいな感じで使ってもらえるんじゃないかなと。

 

―この物件ですが、創業当初からここにありますが、普通の貸しオフィスですよね。内装は何かやられているんですか。

 

(本多)

創業当初は下(1階)の一部屋でしたね。内装は改修しています。下の部屋の時に、壁は珪藻土だし、床は緑で汚かったので、大家さんに相談して、床全部剥がしてフロアマットを自分達で敷いて、珪藻土剥がしてペンキで塗って、デスクワーカーなのにDIYしました。駐車場も多く、立地はいいですね。

 

―ここだと、普段食事はどこに出られるんですか。

 

(本多)

かまどやが近くにあったりとか(笑)、他にはスーパーで。あとは弊社で神出鬼没のマックフェスが行われるんですけど、誰かがマクドに買い出しに行くという。マックフェスとローソンフェスが勝手に開催されるときがあります(笑)買い出しに行ってもらう。

 

(足立)

よく行ってますよね。自分が食いたいから(笑)一番上がパシられる。

 

(本多)

そう。自分が食いたいからと、よく行くから「マックフェス開催して」みたいなことを言われる(笑)

 

―それからコワーキングスペースのcomado。今そこ(向かいの部屋)で仕事をされているのは、会社外の方ですか。

【コワーキングスペース(社外の方が利用中】】

 

(本多)

2階のここ(向かいの部屋)とそこ(隣の部屋)がそうです。隣の部屋は、ビジネス契約で月額で借りられるんですが、特定のメンバー何人かで契約して使ってくれています。月契約なので何回来てもOK。イベントを開催したいなど、使いたいときは空けてもらっています。

 

―先程お話のあったセミナー開催の時なんかも使われている。これまでにどんなセミナーをやられたんですか。

【月額利用のスペース(奥は観覧用の段があり、セミナー等にも対応】

 

(本多)

ボードゲームやるやつとか。あ、それはセミナーじゃない(笑)

 

(足立)

仕事関係だとライティング講座とかカメラ講座とか。最近はコロナでできていないんですが、小学生向けにプログラミング教室とかも月に3回くらいやっています。

 

(本多)

参加は人づてというのと、去年の夏に商工会青年部でやっていたわいわいフェスティバルというのがあるんですが、そこがキッザニアみたいな職業体験をやるということで、プログラミングを小学生に教えたんですけど、もっとやりたいという子が来てくれて。

 

―将来構想について、お金があれば、あるいは人がいればやりたいことがあれば、支障のない範囲で教えてください。

 

(足立)

社内的なところで言うと、経験がある人を採用しているわけではなくて、実務経験がなくて、学校などで勉強していましたという人を採用したりしているので、新しく入った人の育成はしっかりしていきたいなと考えています。

【働きながらスキルを育成】

 

(本多)

対外的には、地域活性で言うと起業、自分で何か地域で仕事を見付けてやっていくことをしてもらいたいというのがあって、そのさきがけとしていなかの窓という組織ができたらなと思っていました。実際、ここで働いてくれていた、ウェブ制作の知識ゼロで入った子が、先月くらいに独立して、個人事業としてウェブ制作を始めました。ただ、例えばデザインの仕事はできないので、いなかの窓に振ってくれたりとか、辞めてもお互いにメリットのある付き合いができたりしています。知識ゼロから自分でできるようになるという経験を伝えられたので、僕としては手ごたえはあるなと思っています。

 

―経験と人脈。人のつながりがあれば仕事がうまく回っていく。

 

(足立)

オンラインデカンショもそうですけど、影響力の大きい仕事が増えてくるので、しっかりと結果を出す、うまくいったときの反応も大きい分、コケることがないように(笑)そこを広報面で僕らが担っていけるようになりたいと思っています。

 

(本多)

あとは地域住民全員が閲覧できるサービス(笑)ITリテラシーの低い人は情報の必要性を感じていないのが問題だと思うので、情報がいかに便利かということを伝えていかないといけない。高齢者が難関ですね。

 

―当初、県の支援制度を使われましたが、その感想というか、もしこんな制度があったらいいのにな、ということがあれば。シリ丹バレーは2030年に向けてのプロジェクトで、丹波の夢を描くものなので、そういった中で走らせていく制度が作れたらと思っています。もちろん、ITリテラシーの育成に関することでも構いませんし。

 

(本多)

僕らの経験から伝えられることがないかなと。いなかの窓という会社をこれまでやってきた中で、未経験者が結構多い。デザインだけやっている方や、会社に入っていてバイトでチラシとか作っていた人はいますが、プロとしてやっていた人はほぼいなくて、ウェブに関しては経験もない、ゼロという人達が入っています。ただ、それでもいなかの窓に入ることによって、自分でできるようになっていたりします。

シリ丹バレーの構想としては、起業家を集めるというか、そういうことですかね。

 

―以前は企業誘致という発想が多かったんですが、むしろ地域の人のつながりの中で新たな起業家を生んでいくとか、育成に力点を置きたいと思っています。

 

(本多)

僕らも、そっちじゃないとなかなか難しいと思っています。能力のある、スキルのある起業家がわざわざこんな田舎に来てくれるかというと、引く手あまたなので丹波地域を選ぶことは少ないと思う。うちもそういう人達を育ててはいますが、あくまでもビジネスとしてですから、雇える人数が限られますし、教育に割ける時間も少ない。実際、いなかの窓で働きたいという人が何人かいた中で、お断りさせてもらった方もいますが、理想としてはそういう人達もぜひ働いてもらえば今よりは絶対に良くなる。

あるいは、いなかの窓に入らなくても、個人的な相談を受けることもあって。相談を受ける以上は素人的なことはできないと思って、去年キャリアコンサルタントの資格を取りました。僕としては地域で働きたい、地域で何かをしたいというなら応援したい。それが、僕がわざわざ地域に、地元に帰って来て起業した大きなひとつの理由です。いなかの窓としても、そういうことが学べる場所、行けば自分ができそうな仕事が見つかる、ランサーズ(注:オンラインで発注・受注ができる、フリーランス用の仕事依頼サービス)みたいなものがいるのかなと。地元でできないと思ったら、みんな東京や都会に行ってしまう環境なので、それをいかにキャッチするかが大事かなと思っています。

 

―ありがとうございました。

【ビルの外看板】

 

※ オンラインデカンショの模様は以下で公開

【公式】15時間オンラインデカンショ 開催!

 

㈱いなかの窓

丹波篠山市西新町179 リトル丹波ビル1階西棟103

http://inc.inakanomado.com/

代表取締役 本多 紀元

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