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事例紹介

株式会社ニュービレッジ計画

2021年1月7日
  • 丹波市
  • 起業
  • IT

【㈱ニュービレッジ計画プロフィール】

丹波市の移住相談窓口を担当していた井口さんが、東京のイベントで移住を考えていたSEの有賀さんと出会い、その後丹波市でデザイン会社の設立を検討していた竹内さんをマッチングし、自らも参加して2018年に3人で会社を設立。

会社から村づくりを実践したらどうなるか、をテーマに、地域のウェブサイトやチラシ制作ニーズ等に丁寧に応じている。

 

―取材を進めると、色んな企業の方がつながっていて。先日は福住の安達さんのところで話を聞くと、井口さんのところにつながったり、また春日町のパブリック・キッチン、山口さんのところではここ(ニュービレッジ計画)の話が出たりと。

 

(一同)

(笑)

 

―この会社には前々から関心を持っていまして、移住の話であり、起業の話であり、また地域との関わりであり、モデルとして面白いと思っていました。既に商工会の記事も読ませていただきましたが、今回はこういう視点でお話ができればと思っています。

まずは会社の成り立ちや名称ですが、何か由来や思い入れは。

 

(井口)

僕が以前(株)みんなの家で移住相談窓口を市から受けて、東京で移住のイベントをした時に、有賀君と出会いました。有賀君の奥さんの実家が神戸で、そこから通える位置にある地方で、元々やっていたウェブサイト関係の会社を作りたいと。

その時に、竹内の実家(丹波市)は薬屋なんですけど、以前から薬屋で回っていると「チラシ作ってくれへんか」とか「ホームページ何とかならへんか」とか「写真撮ってくれへんか」とか、そういう話があって、出来る範疇で対応していたようで。いっそのこと、デザインの仕事を事業としてやりたいと聞いていて。じゃあ、一緒にやったらええやんと(笑)

【左から有賀さん(制作)、井口さん(事務)、竹内さん(営業)】

 

―移住や起業といった成果が一気に出ましたね。

 

(井口)
会社名は、単純なウェブサイト制作だけではなくて、世の中的にも面白い切り口の事業ができないかと考えていた時に、近年限界集落が増えてきていて、丹波市でもあちこちで集落が成り立たなくなっているという話を聞いていて。このままでは集落が上手くいかないからといって法人化する集落があるんですけど、なかなか上手くいかないんだと。でも、それって当たり前だと思うんです。今まで仕事を一緒にしていない人たちで、今から一緒に仕事しましょうなんて。

 

―確かにそうですね。

 

(井口)

すごく難しいことしているなと率直に思うんですね。なので逆に、会社をちゃんと回せるだけの人の関係があるところが集落を作ったほうが上手くいくんじゃないかと。

物理的に寄せ集まった土地で集落にするのか、それとも各自が住んでいるところが別々の状態で架空の集落になるのかは置いておいて、僕らがやりたいのは、会社経営を上手く回した後、どこかのタイミングで集落になれたらいいな、というのを目指していくことは面白いんじゃないかと。

 

―なるほど。今この場所に構えられている理由は。この建物はどういう物件なんでしょう。

【ニュービレッジ計画が入る物件】

 

(有賀)

お隣が大工さんでオーナーなんですが、それを賃貸で出していただいて、借りています。

 

(井口)

なぜここかと言われると、申し訳ないけど消去法でしたね(笑)

最初は、柏原の城下町で探していたんですよ。でもいい物件が出てこなくて、不動産屋さんからここがあるよと。

 

―まだそんな段階ではないかも知れませんが、会社を集落にするにあたっての範囲、受注エリアの話とも関係しますが、この周辺の集落を巻き込んでいくということなのか、自分達の活動に賛同してくれるところがあればどことでも手を組む話なのか。

 

(井口)

あまり現存の集落と歩調を合わせることはイメージしていないですね。今の話を以前丹波新聞に記事にしてもらったんですが、結構いわれましたからね。「村乗っ取るつもりか!」と(笑)もちろん冗談半分で、ですけど。

限界集落が出てきていて、今後もどんどん出てくる、実際、集落が解散する場所も出てきていますよね。そういった時に、たまたま何かしらの会社の規模や地縁があって、その物理的な場所に全従業員が引っ越せてしまうと、集落がそのまま会社になるな、じゃあ行ってしまうかみたいなことができる「かも知れない」。あるいは、それを諦めても、それぞれが散った状態でネット上だけの集落としてやるのか、それは今後の状況によって判断していくわけですけど、あくまでも目指しているのは会社をやっているこの人間関係の中からなにがしかの形で集落になることを目指しています。

 

(有賀)

物理的な集落という観点ではミスリードになってしまって、どちらかというと精神的な意味での集落というほうが近いです。会社で考えると上司、後輩、同期とかいると思うんですけど、それが同じ場所に住んで同じ会社に通うって、普通に考えると苦なことだと思うんですよね。ただ、うちはそうではなくて、今はウェブだし、今後新しく会社のスタッフを村民とした時に、別なことをやっていればその人が得意なことを事業化して伸ばしていくと。そういうことを許容しますよという意味なんですね。丹波市内で完結するならそれでもいいし、足りなければ北海道とか、飛び地にそういう村民がいたっていいじゃないか、という考えです。

 

(井口)

そうそう。例えば今丹波市に務めている職員さんが全員丹波市にいるかというと違うじゃないですか。会社って、どこに住んでいるかに関わらず事業は回るもので、我々がIT、ウェブの会社として、どこまで一本で行けるか分からないですが、ウェブであればあるほど、どこに住んでいようが仕事はできちゃうので、物理的な立地なんてどんどん関係なくなっていってしまう。僕らが目指している集落化は、決して物理的な目だけでものを考えていない。この概念を説明すればするほど、そこら辺の集落の一般の人はわけがわからなくなるので今は詳細に説明しない(笑)

 

(竹内)

そういう人らに対しては、会社っていう家族、集落を作りたいんです、というのが一番分かりやすいかも知れませんね。僕も外で聞かれたら、それくらいしか言わないです。

最初、2人(井口と有賀)が話をし始めた時、俺も「ん?どういうこと?」ってなったもん(笑)

 

(井口)

未だに理解していない可能性もある。

 

(竹内)

いや、そんなことは(笑)

 

(井口)

あとエリアの話で言うと、今は基本的に受注エリアを丹波市に絞っています。外に出て行くことをやめて、中の仕事ばかりやっています。丹波市内の。篠山の案件が来れば、篠山の会社を紹介したりすることもあるし。我々がやる意味というか、外だったら外の会社のほうがいいんじゃないですか、って。

 

―地元の人のほうがちゃんと話を聞いてあげられるし。

 

(有賀)

そうなんですよ。たまたまプレーヤーがいなくて、色々聞いた結果うちじゃないと困りますね、ということがあればお断りはしませんけど。案件が欲しくて外へ外へと拡大していくようなことは現状していないと。

 

【制作担当の有賀さんのデスク(2階)】

 

―創業準備段階から、順番待ちがあったと商工会の広報誌に書いてありましたが、あれはどんなクライアントからだったんですか。

 

(竹内)

僕がメインで受注してくる形なんですけど、僕自身、商工会や青年会議所であったり、丹波で生まれ育って丹波から出たことがなかったんで、言うなら知り合いが多かったんですよ。竹内が新しい会社を始めた、みたいな話になって、意外と業者は競合がいない。よく知っている竹内だし、頼みやすかったんでしょうね。

 

(井口)

制作するのは有賀なんですけど、有賀のキャパが会社のキャパなので、一気に10社くらい来ても、制作するのは目の前の1社しかできないので、それがある意味受注待ちみたいになってしまったんですよ。

 

―役割分担で言うと、制作を有賀さんがやられて。

 

(井口)

竹内が営業、僕が事務。

 

―皆様の会社として何ができるかを見ながらになりますが、今一番危惧されているところというか。

 

(井口)

ニュービレッジ計画としてぶち当たっている田舎ならではの課題は、一言でいえば都市部と地方の情報格差でしょうか。会社として受けている課題かな、これがやっぱり。

【会社のそばにはのどかな田園地帯が広がる】

 

(有賀)

ホームページやチラシを作るというのは、IT分野でもあるし同時にマーケティングというか広告宣伝全般でもあって、その辺の認識が都市部と比較しても、語弊を恐れず言えば著しく低い。

商売をやっている限りは、どんな形にせよ広告宣伝、つまり伝えていく努力が必要なんですけど、制作のプロセスをお話しして、金額や必要な情報に合意しても、なかなか思ったとおりの情報が出てこない。それは事前の認識として、ホームページというのはテキストや写真なんかの素材が必要という意識だとか、このくらいのお金・期間がかかるという前提がないので、共通で認識できる柱が一本もない。そこの柱を立てるところから我々はスタートしているので時間がかかるし、そういうことを、ホームページを作り始める前の段階で結構やっているからかなり大変で。

 

(井口)

そうなんですよ。要は、特定の企業だけの話じゃなくて全体的にこれは競合他社との競争が、街中のそれと比べて極端に少ないことが原因だと思っています。

ホームページの中に書くべき会社の情報とか理念とか、代表者メッセージみたいなものをくださいと言っても、まず書いたことがない場合が多くて。下手すると経営理念とか考えたことがない人もいるし、とにかく広告慣れしていない。それはホームページに限らず、チラシ初めて作るみたいな人もいるし。会社のパンフレットの一作目を我々が受けたりもしているので。

 

―手取り足取り関わらざるを得ないというか、この会社と関わることによって、相手もそれを考える機会になっているんでしょうけど。望んだ材料が出てこないから、それで作りましょうかとはならないでしょうし。

 

(有賀)

そうですね。これを機会に、経営自体も根本から考える良いきっかけだと好意的に捉え、すごく乗り気でやっていただける場合には我々もすごく気持ちよくできるんですけどね。

これは本当に課題で、ITというものが浸透している当たり前の世の中があるのに、地域の人口が減る、ひいては事業者も減る、過疎化が進んでいくはずなのに、それを解決できる手段であるITに対して、真剣に目を向けている人や事業者が少ない状況が続いていることに非常に危惧があります。

 

(井口)

制作完了までの時間の中で、制作にかかっている労力が感覚値的には2~3割と言ってしまってもいいくらい。残りの7~8割は、材料が整うまでにびっくりするくらい時間がかかるんです、本当にうちはホームページ屋なんかな、って疑問に思うくらい。使っている労力を考えたら、どちらかというと・・・

 

(有賀)

コンサルに近い(笑)

 

(井口)

相手方も、ホームページを作りたいと言ったものの、写真とかの素材を竹内が用意しているということをちゃんと分かってくれる事業者は、ありがたい部分は制作ではなくて、今後の経営の相談に乗ってもらっていると感じているクライアントがいるくらい。ホームページを作りたい人が全部の材料を持ってきてくれて、「このテキストで、この画像で、あとはよろしく。」と来るのが理想なんですけど、全然来ない。1年、2年やってきて、2期終わってずっとそうだから、今後もそうなんだとすると、これはやっぱりホームページ屋さんとしては課題やな、と。

 

(有賀)

今、うちがたまたまそういう状況に直面していますけど、それこそシリ丹バレー構想が形になって、IT事業者やHP業者が入ってきた時に、また同じ壁にぶつかったとしたら、なかなかその壁を壊せる体力のある会社はないかも知れない。他所から入ってきて、地域を良くしようと思っている人たちが、真っ当な取組みというか、事業ができるような下地を、いずれは作っていかないといけないと思います。

【打ち合わせ中の3人】

 

(井口)

この話は、僕が丹波市にきてから今まで丹波市内でウェブサイト制作の会社が何件かあったけど、軒並みいなくなったので、この話だと思っています。制作に至るまでの過程がありすぎて、制作会社側が整えきれないことがほとんどで。ちゃんと材料をまとめないまま、ふわっとした状態でサイトを作ろうとするから、仕上がりが微妙だったり、効果が出ないものが量産されたり。クライアントも、頼んだけれどもいいものができなかった、見た目はいいけど効果がなかった、そういう印象ばかり与えていくと、そいつから紹介してということもないし、やめといたら、みたいな話にしかならない。

結局、作る以前ができない限り、難しかったんだろうなと。営業と、打ち合わせで調整していくディレクション部分が、今までの制作会社では難しかったんだろうなと。

 

―制作側の問題ではない(撤退)ですよね。

 

(井口)

制作側に問題がないとはいいませんが、個人のフリーランスでウェブサイト作れますみたいな人でも、その人の制作案件が伸びているとか、上手くいっているという話を聞かないので、やはり相当きついんだろうなと。さっき言ったみたいに、制作って全体の2~3割しかないのに、1人でやらないといけない。前段階の7割の打ち合わせが、フリーランスだと全部乗っかってくるわけじゃないですか。フリーランスでデザインをやれる人が全然伸びない土壌になっているのも、この問題だと思いますね。

 

―なかなか一足飛びに解決はできないと思いますが、それに対して、もし、こんなことが出来たらいいよねという、会社の範疇を超えていてもいいんですが。

 

(井口)

リテラシーの向上というか、そういうセミナーをやった方がいいかなと。商工会とよく関わりがあるので、広告宣伝に関する啓蒙的なセミナーとかを粛々と。どちらかと言えばベースアップみたいな話なので、一企業でやるよりは、商工会とか丹波市とかで追いかけていってもらえるほうがいいかなと。

 

(有賀)

一社が時々セミナーやりますと言ったところで、多少効果はあるかも知れませんが、それよりは毎日普通に生活している中でウェブサイトを作る意味とか、チラシを打つことの有用性だとか、そういった情報が入ってくる、溺れる状態があるほうが、いつかは自らが望んでウェブサイトやチラシの情報を取りに行くことにつながると思いますね。

まずは、そういう情報を継続的に出すことを、出来れば全体でやっていきたいですよね。うちだけがやると、うちが売上のために宣伝しているみたいになってしまうので、そういうことではなくて。人並みにやった方がいいと思いますよ、という公共性を持った状態でやりたいと思っています。

 

―最後に、ここの会社は何か公的な支援制度を使われていますか。それも踏まえて、注文というか、ご意見があれば聞かせてください。

 

(井口)

兵庫県のIT補助金(IT戦略推進事業)を利用させてもらっています。

県と市から補助を受けるものなんですが、同じことを別々に報告する必要があるのをどちらかに窓口一本化してほしいですね。ややこしさがあると人に紹介もしづらいですので。

 

(竹内)

このシリ丹バレーの構想あるじゃないですか。兵庫県内にこのIT助成金のメニューを使っている先っていっぱいあって、企画の構想的に数がまとまっているのでは。県でやったらどうですか、素朴な疑問ですが。

 

―我々が田舎でやっている地域再生、集落再生との組み合わせでやろうとしている事業なんですよね。会社がたくさんあって、頑張っていることプラス、それを上手く集落課題につなげていけるような、そこに丹波としては力を入れていきたいなと。全県のIT戦略推進事業があって、その企業が全て地域の再生のためにやっているわけではないので。特に丹波については上手くそれを使って集落課題の解決にもっていけたら。

後は、廃校とか空き家の問題。そちらも、働く側の人間から見てもそうですし、コワーキングに使うとか、丹波としてはそこに力を入れたい。

ここの企業もそうですが、地域のために頑張っている色んな企業の事例紹介をしたいと思っています。今日は面白いお話、ありがとうございました。

 

 

㈱ニュービレッジ計画

丹波市柏原町柏原1934-2

https://www.new-village-plan.com

代表取締役 有賀 史朗

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