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Public Kitchen

2021年1月7日
  • 丹波市
  • 起業
  • IT
  • 飲食
  • 農業

【山口圭司さんプロフィール】

奈良県五條市生まれ。ソフトウェア会社役員として上場準備を経験後、2011年に大阪で独立してパブリックキッチンを設立、有機野菜を使ったカフェを経営。その後、野菜仕入を通じて縁のあった丹波市へIターン。農業に携わる傍ら、作付けから栽培に関するデータを管理する生産管理システムを開発。2019年には、森林管理向けの地図アプリを開発する株式会社マプリィを設立。

丹波地域の特色である農業・林業にITを活用する起業者として取材。今後、空き家を活用したコワーキングスペースを整備し、IT技術者の誘致・育成も計画中。

 

―以前、県の助成を受けてPublic Farmという会社を設立されていますね。

 

(山口)

Public Farmの法人成りが株式会社マプリィで、こちらは個人事業でした。Public Kitchenを法人でやりながら。私がIターンする前にこっちで農業を始めていて、Iターンしたタイミングで(助成を)使わせていただきました。

今は、登記はここ(春日町多田)になっているんですが、ここだったり(春日町)野村だったりでやっています。

野村のほうは、アパートがあって、元々倉庫だったんですが、持ち主さんに倉庫を改装していただいて、そこをお借りしています。

農場はこの辺り、多田にあります。今は販売はしていなくて、全て店舗で使っています。

【国道175号線沿いの店舗】

 

―このお店で直売みたいなこともされているとか。

 

(山口)

やっていたのですが、売るのは自分たちの店舗で使うより効率が悪くて、一本に絞りました。それのおかげで、今までは良かったんですが、コロナの影響で4月・5月は厳しくて。それでショッピングサイトを作ったりして、宅配でお店に持って行ったりするので、丹波市、丹波篠山市、三田市、宝塚市といった大阪へのラインですよね、別に宅配のラインを作っている感じです。

 

―このお店は、先日宝塚の店舗に行った時も同じような内装だったんですが、この建物は元からあったのですか。

 

(山口)

3分の1くらいはあったんです。倉庫みたいな感じで使われていて、土地をお借りして、建物はこちらで増築しました。作業場兼で、どちらかというと店のほうがついでだったんですけど(笑)

【店舗外観】

 

―会社の名前の由来とか思い入れがあれば。たまに面白い話が出てきたりするので。

 

(山口)

至って普通で、Public Kitchenというのは明らかに飲食店なんですが、私自身が農業や飲食は初めてだったので、Publicという公共というか、オープンな形で、Kitchenは台所なんですけど、皆さんに入っていただいてオープンな形でやりたいと思って。

マプリィは、マップとかGISと言われる地理情報システムを使うので、一番身近なGoogle MapもGISですが、英語だと「リィ」が付くと名詞が形容詞になる、みたいな感じで。皆さんがマップを、地理情報、空間情報というものを簡単に使えるようにサポートしていきたいという思いで、語呂もいいのでマプリィになりました。

 

―元々は(別の会社で)上場の準備をされていたとか。

 

(山口)

そうです。エンジニアではなかったんですが、簡単に言うと、インターネット広告、Eコマースのソフトウェアです。インターネット広告の効果を測定したり。Eコマースのオープンソースのソフトウェア、高機能で柔軟なECサイトを無料で作っていただけるような、そういうサービスを運営している会社でした。

 

―そうしたアプリなどを作る技術は、その会社に入る前に習得されたのですか。

 

(山口)

いえ、元々上場事務などの管理部門系だったので。辞めてから、このPublic Farmという個人事業をやる少し前から自分で勉強して、人が入って来たので法人成りした、みたいな感じです。

 

―独学で。すごいですね。全くやっていない我々からするとそう思えてしまうんですが、意外とできてしまう感じなんですね。差し支えなければどういうものか、見せていただけますか。

 

-アプリを立ち上げながら-

 

(山口)

誰でもできますよ。作りたいものが決まっていれば、根気よく。英語を学ぶとか、そういう感覚です。決まった仕組や流れで作るだけなので。

分かりにくいかも知れませんが、農業で生産管理のために使っているものと、森林管理向けに使っているものがありまして、実はモノは一緒なんですよ。

 

―そうなんですか。

 

(山口)

農業向けのほうは僕たちで使っているだけで、農業者向けにはまだです。農地の管理はもちろんなのですが、それぞれのエリア、ほ場ごとに画像や動画、タグ付けなどを投稿します。スイートコーンとかをタグで付けたりしていますが、画像と動画とテキスト・タグ付けをセットで投稿し、AIなどを使って解析します。

生産管理というと時間管理とか作業工程の管理がありますが、時間の管理は日報みたいなチャットツール上でやれば済むのですが、生産管理で大事なのは有機JASやGAPを取っている場合。有機JASだと収穫するときの格付けみたいに、これいいですよ・悪いですよみたいなものを別で管理するのが面倒です。収穫時は写真で全部投稿するとか、“収穫開始“とかのタグにしておいて。タグにすると過去のデータなどの検索性も良くなります。

画像と動画で投稿すると、どういう画像の時にどういうタグが、というのがセットで付くので解析しやすい。もちろん目視で、こういう病害虫でこのほ場はこんな感じで、ということをやりやすくしています。

※ 有機JAS・・・有機食品のJASに適合した生産が行われていることを登録認証機関が検査・認証するもの。

※ GAP・・・農業において、食品安全、環境保全、労働安全等の持続可能性を確保するための生産工程管理の取組(Good Agricultural Practice:農業生産工程管理)

【画像情報が登録された生産管理システム】

 

―これは、元々のアイデアというか、ご自身でこういうものがあったらいいよねということで作られたのか、どなたからかお話があったのですか。

 

(山口)

自分達でやっていることなので、時間を細かく管理するのではなくて、もうちょっとデータを貯めた上で、新しい方が来ても過去のデータを簡単に見られるとか。細かい生産管理のシステムだと億劫になってしまうので、画像とか動画が付いているほうがいいという認識です。

 

―後々、これを一般にリリースしていくという考えは。

 

(山口)

したいなとは思っています。林業とか森林向けにやっているんですが、すごく広大な面積の林業・森林関係と、小さい面積の農業という違いだけで、基本的には同じなので。

森林のほうはトレーサビリティという形で、SNSっぽいタイムラインもやっています。よくあるトレーサビリティの仕組だとなかなかやっていただけないので、自分達の業務上やっていることの延長線上で勝手に撮れているというくらいでやろうと思っています。

今年予定しているのがブロックチェーン。これがすごく面白くて、AIだとかIoTだとかドローンだとかよりも革新的な技術なので。新しく認証制度を作ったりするのにはすごくやりやすいですし、改ざんもできないし。

 

―ブロックチェーンというと金融のイメージですけど。

 

(山口)

トレーサビリティも農業面では結構規模が大きいところとか、海外では大規模にやっています。ただ、丹波市や丹波篠山市の有機農業は個人で小規模。そういう方に向けて、いかにやりやすくするかというところは意識して作っていっています。

林業のほうはもっと最たるもので、iPadなんて使わないよとか。農業は規模が小さいので、あまり地理情報の活用を意識しなくてもできちゃう。林業は広大すぎるので絶対必要。空間情報も重要になってきていて、例えば自動運転も地理や空間情報を判断して走る、操作するというものなので、ああいうところが一番分かりやすいところです。

林業のアプリは、実は先程のタイムラインまで行っておらず、どちらかというと純粋なGISのシステム。GISってすごく難しい。そもそもアプリ自体が少ないとか、すごく高いとか、色々問題があるので、そういうのを解決したい。林業の方々に、収益が上がるように経営していただく、それに対して貢献したいです。

シンプルなのですが、地図にも色々あって、地質図とか活断層図とか、航空レーザー計測した地形図とか。森林ではそういうものを重ね合わせて見ることが必要ですが、データをSNSのようなものを使ってグループで共有するような仕組がなかったんです。自治体の計画と民間や現場もつないであげないと地域の森林が良くならない。

 

―これまで、山口さんの周辺の方々以外で、こんなことをやっているんですということをお話されたことってありますか。

 

(山口)

まだまだ大手の方が強い領域なので、色々なところにアプローチしています。公的な機関を使わせていただきながら。現場のデータをメインに、その補完として衛星データや航空測量データなどを使ったりもしています。

農業をやっていると分かるのですが、「検出してどうするの?」「そこからどうするの?」とか、実際にやっている方々は「何だそれ」みたいな感じなんですよ。自治体もなんとかしようとしているんですが、解決できるところはこちらで解決したい。森林関係ができれば、山に価値が出てくれば儲かるというか、地域ってかなり変わると思うんです、農業以上に。せっかく国土の7割弱の山があって、これだけ資源豊富にある。その辺りの流れを上手くやれば、地域にとっては差別化できる良い産業になる。

 

―農業のほうは写真で色々なデータが貼り付けてあるので、何となくイメージが分かるのですが、林業も同じように?

 

(山口)

本当は動画と位置情報を連携させて、SNSなどで自治体や現場の法人のスタッフ同士でやるべきなんですけど、やらない事業者が多いんですよ。分かっていても、大半は今までどおり、とりあえず切ったらいいという感じで。農業もそうですが製造業に近いはずなので、在庫管理をして、川上から川下の製材所や工務店に流れてきて、欲しい材料を提供できるような、しかも安いのに大きいものを地域で使っていけるような仕組を作らないといけないけれど、その在庫管理が上手くいっていない。そこにどう意識してもらうかというところからやっています。なかなか写真で、というところまでは難しくて、とりあえずは地理情報をきちんと活用できる形にしているところですね。

ただ、県とか国のアドバイザーや森林プランナーとか、そういう方が刺さるので、そういう方に普及して民間に広げてもらっています。

 

―丹波地域でも、高齢化が進んだり世帯が減ったりしている集落活動の活性化が課題になっています。山口さんご自身は集落の活動、自治会とかそういうところにアプローチされることはありますか。

 

(山口)

元々多田で農業をやっていて、農業関係の関わりはあります。思っていることはたくさんありますが、こちらから働きかけていることは難しいですね。世代が一個上というのもあって。自治会によっても違うと思いますが、Iターンがいないんですよ。Uターンばかりで全然いないんです。

皆さんオープンで、良くしていただいています。農地を探すのに協力いただいたりとか。ただ、村の仕組を変えるということは難しい。何がダメなのかが分からなかったりとか、移住者の方ができるだけ住みやすいようにするとか、そういうことを考えないほうが普通だと思うんですよ。だから僕の世代になったら変えようと(笑)

 

 

(山口)

丹波市内にITが出来る人って少ないんですよ。ITの本当に技術的なところで、プロダクトを作ったりサービスを展開したりしているところ、そういう人材を増やしたい。都会の方に比べて地方の方は、そこに対して投資をしない。だから増えないんですよ。そこの重要性が分かっていない。やらなくても、地域の付き合いとかでなんとかなるという会社が多い。それも重要なのですが、都会にはそれがないので、いかに自分達のサービス、プロダクトをいいように作るか、そしてお客さんの課題を解決するものを作らないと売れないので。地域のほうが、そこに対して課題を感じていただいて、林業のほうでもこういう技術が必要なんだよという。農業でも、今は注目されていても昔は聞いてくれなかったことがあったり。そこが問題なんだろうなと。そこをどう事例を作るかは、頑張ってやろうとしています。

 

―ちょうどそういう事例を分かってもらえたらいいな、ということが我々の根底にもあって、こういう企画(キックオフミーティング)をやらせてもらおうとしています。

 

(山口)

今、京都で分かりやすい事例として、地域の防災マップ、よくあるハザードマップみたいなものではなくて、山が入っていてどういうリスクがあるかを、高齢の方もいるので伝える事業をやっています。皆さんが土砂崩れなどをもうちょっと身近に感じていただける内容を増やして、こういうことを他の地域でやりましたというのをお見せして、要は森林なので地域向けのアプリにしたいというのがあって。森林・山村多面的機能発揮対策交付金、林野庁事業といって自治体がやっているじゃないですか。ああいうのも面倒臭い手続が必要だったりとか、それが嫌だからやらないというのも実際すごく多くて。また、灌水なんか設備系が古くなっているじゃないですか。あれの管理に使うとか、そういう地域のアプリとしてやっていきたい。ただ、山はまだ誰もやっていないから、とりあえずそこを解決できる目途が立ってから。

 

―物件、この場所は農業が先にあったんですよね。店舗の配置について、考えられていることはあるんですか。今は大阪、宝塚と丹波ですが。

 

(山口)

この店舗はできてからまだ2年くらいですかね。今は都市部でというスタンスは変わらないのですが、宝塚みたいに大都市ではないけれども人は多いところもにも力を入れていて、効率の良い大阪-丹波ラインを増やしたいなと。もう一つ、人が集まる公園とか施設なども考えています。

 

―東京の時は、ご自身でも調理されていたとか。それは師匠になるような方がいたとか。

 

(山口)

調理が好きですから、店を始めたときからやっていました。師匠はいないです、いないです誰も(笑)

【丹波の有機野菜を使ったランチメニュー(写真は宝塚店)】

 

―それぞれの店舗は、基本的に同じメニューなんですか。

【丹波店のメニュー表】

(山口)

ばらつきがあるので、いかにそれをなくすかですね。基本的にこの内容、というコンセプトはあるんですが、量や味付けには差があるんですよ。宝塚だと年配の方も多いので薄味がいいとか、こっちもですが。大阪の梅田や心斎橋なら濃いめのほうがいいとか。

 

―将来構想のようなものがあれば。農業の生産管理や森林管理以外に、手を突っ込んでみたいことはありますか。

 

(山口)

地域の情報を皆さんが便利に使っていただけるようにしたい。地域の情報で、皆さんが知らない情報を自治体が持っていたりもするので、それを上手くつないで。それで地域が強みを持って発展できるようになればいいなと。もちろん、観光なども含めて。

最近よく言われるスマートシティ※。どちらかというと都市部向けだと思いますがが、あれの地域版をやりたい。全ての領域でデータを連携させて、活用するような。地域のほうがやりやすいはずなんです。ただ、そこで森林を除いてしまうとだめ。森林は水や農業用水にも関係ありますし、土砂災害や獣害の問題もあります。そこを森林も含めて地域で活用できるようにしたいというのが一番です。

※ 建物、インフラ、モビリティ等、AIやビッグデータを活用し、社会の在り方を根本から変えるような都市設計

 

―これまでに使われた制度と、行政に対する意見等があれば。

 

(山口)

UJIターン向け起業家の制度があったからこそ始められたというのが大きいです。このパブリックキッチンはやっていましたが、僕自身は東京にいたんですよ。東京から引っ越して住民票も移して、新しくシステム開発をやろうと思って使わせていただいたと。

支援はすることは絶対に大切だと思います。ただ、色んな状況、しがらみの中で制度を作ることが難しくなっていますよね。現場の方の意見をもっと聞いていただいて、スピード感を持ってやっていただけたら。

農業や林業は力を入れやすいと思います。大阪は但馬とかに比べると比較的近いので、何とかITの人材を呼んでいただけるような制度・仕組があれば。

 

 

―普段はどういう生活スタイルというか、週の中でこの日は大阪とか、丹波とか。店舗にずっと出ているわけではなく。

 

(山口)

ずっと大阪に行くということはないので、日曜は休んでいて、月から土まで仕事。先週だと和歌山や三重に行ったり、このアプリの関係で回りつつ、店に立ち寄ったり。店舗に出ているわけではないです。やりたいんですけどね(笑)

今度、ゲストハウスというか、そんないいものではないですが、そういう人が住む場所を借りるんですよ、スタッフが一人住んで。

 

―コワーキングスペースのような。それは元の物件としてはどんな。

 

(山口)

そうです。コロナを契機に在宅で、遠隔でというのが進んできたので。元々空き家だったのを安く買い取って、改装します。兵庫県の空き家活用の制度を使わせていただきたいと思っています。

 

―丹波と言えば黒豆、小豆、栗などがあって、キャッチーな分野なのですが、そういった作物との接点ってありますか。

 

(山口)

季節的に一時のものなので、今は年間通してトマトを栽培とかに力を入れています。出来ることがあるとすれば、画像でこういう状態だということを記録するサービスは考えていて、データを取ったりはしています。簡単なところだとQRコードでトレーサビリティをパッケージに付けることも考えたんですが、あまり手間もかからないし情報もないと思うので、栽培で役立つツールとして提供できるとは思っています。京都で、衛星と現地のデータを使って、茶葉の栽培管理に取り組んでいます。実は農業では今年度唯一の取組です。

 

―本日はありがとうございました。

 

 

㈱パブリック・キッチン   ㈱マプリイ

丹波市春日町多田1534

http://pkp.co.jp      http://mapry.info

代表取締役 山口 圭司

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